峯水亮写真集 Jewels in the night sea 神秘のプランクトン
夜の海にあらわれた、美しい浮遊生物。
多くの人が眠っている時間に、海の中で出会うのは驚くような生き物たち。眼には見えないきわめて小さな姿をカメラで覗いてみれば、姿も、色も、生態も、うっとりするほどの世界がありました。長年におよぶ粘り強い撮影がとらえた、美しくも不思議な姿。日経ナショナル ジオグラフィック写真賞グランプリ受賞後初の写真集!
峯水亮写真集 Jewels in the night sea 神秘のプランクトン |
こんにちは。写真家の峯水亮です。この度、 日経ナショナル ジオグラフィック社より、自身初の写真集である「Jewels in the night sea 神秘のプランクトン」を上梓しました。この本は、私が長年向き合ってきた海のプランクトンの夜の姿を捉えたものです。
真っ暗な夜の海底に1本のライトを設置してじっと待つ。そんなことを繰り返してきたのは今から25年ほど前のことでした。それから年月が経ち、数多くの経験を重ねるうちに、やがて最も重要な要素である水中ライトに技術進化の波が訪れます。それまでは水中ライトと言えば単1電池で点灯させるハロゲン光だけだったものが強力なHIDバルブに、それも瞬く間に省エネなLEDへととって変わり、やがて生き物が好む高演色性のLEDライトRGBlueと私は出会いました。
経験を重ねる度に、今では季節や潮汐などの様々なデータをもとに、高い確率で彼らに会うことが可能になりました。私がイベントとして開催しているブラックウォーターダイブ®はそんなノウハウを基に開催しているイベントです。夜の海底にこのRGBlueライトを設置し、柔らかい光の空間を創造します。そして、そこに現れるプランクトン=浮遊生物を観察するのです。
私が夜の海の撮影にこだわった部分は、もちろん後に述べるように夜のプランクトンの生態が面白いという理由が大半ですが、もう一つは、暗闇で撮影することは、被写体の美しさを際立たすことができるからです。これは、透明な生き物をより鮮明に見せるためには、黒い背景が最もその透明なゼラチン質の濃淡をつぶさに表現できて、水中ストロボの光によって浮かび上がる生き物のディティールだけに集中して見てもらえるからでした。
夜の沿岸に訪れるプランクトンには、浮遊生活を終えて着底生活へと移行する(接岸回遊という)時期のものがいて、彼らはこのあと、姿を変える変態=”metamorphosis” を行います。つまり、私がそこで出会うのは浮遊生活を終える最後の姿を捉えたものです。
彼らはより多くの潮流を体でとらえるために、浮遊するための機能を体に備えています。Chapter1の”たゆたうちから”では、その浮遊に特化した機能について注目しました。
また、体の機能は浮遊するだけでなく、捕食者から身を守る防御の技も備えています。その技や機能も生き物によって実に様々な工夫がみられ、それぞれが進化の過程で身に着けた多様性が伺えます。Chapter2の”まもるくふう”では、体を守る大きな棘の機能や、長いひれ、発光器などそれぞれの特異な姿について特に注目しました。
プランクトンは肉眼では気づきにくいサイズのものが多く、海の中ではじっくり見ることは不可能です。最新のデジタルカメラで鮮明に捉えることによって細部をより大きく見ることができるようになり、その繊細な体の構造を誰でも簡単に知ることができます。中には透明な体が光の干渉によって様々な色に輝いたり、神秘的なシンメトリーの体の造りがあり、それはまるで美術品のような美しさがあります。Chapter3ではそのような生き物たちを”うみのほうせき”に例えてまとめました。
Chapter4では”しんかいのゆりかご”と題して、表層で出会う深海魚の稚魚などに注目しました。普通なら潜水艇に乗って深海に降りない限り、到底生きたままは出会えないような生き物たちですが、この時期はごく浅い場所で暮らしているものがおり、沿岸の生き物たちとは違った神秘的な姿を魅せてくれます。彼らにとってここは成長を育む”ゆりかご”のような場所です。
浮遊に特化した姿、防御の技など、彼らは生きるための知恵と工夫をその進化の過程で習得してきました。しかし、最も効率的なのは目立たないこと。つまり、透明であることです。Chapter5では”とうめいなわけ”と題し、その透明な体について注目しました。
以下、書籍データより引用します
【タイトル】
Jewels in the night sea 神秘のプランクトン【著者】
峯水亮【著者について】
1970年大阪府生まれ。20歳のときにスキューバダイビングに出会い、海の世界の美しさをたくさんの人々に伝えようと決心し、水中撮影を始める。移りゆく自然環境を見つめながら、生き物たちの命の尊さと力強さをテーマに海洋生物の撮影に取り組んでいる。2016年に日経ナショナルジオグラフィック写真賞のグランプリを受賞、2017年には米国のニューヨーク市で個展を開催、ナショナル ジオグラフィック英語版サイト、BBC NEWSなど、各国のメディアが取り上げた。数多くの児童書や教科書、テレビ番組などに写真を提供しているほか、水中生物についての執筆も複数の書籍で担当している。共著書に『日本クラゲ大図鑑』(平凡社)がある。【目次】
- まえがき
- Chapter1 Adaptation for Floating たゆたうちから
- Chapter2 Art for Defense まもるくふう
- Chapter3 Minimal Jewels うみのほうせき
- Chapter4 Cradle of Deep Sea しんかいのゆりかご
- Chapter5 Reason of Transparency とうめいなわけ
- Index
- 夜の海で撮影する
- プランクトンとは?
- あとがき
【仕様】
天地249 mm×左右213mm、並製、144ページ、本体2700円+税2018年8月13日発行
ISBN:978-4-86313-430-0
デザイン:文平銀座
出版社: 日経ナショナル ジオグラフィック社
【個展タイトル】(※写真集と同名の写真展を開催)
Jewels in the night sea 神秘のプランクトン【開催場所】
- キヤノンギャラリー銀座 2018年8月20日(月)~8月29日(水)
*8/26(日)はキヤノンギャラリー銀座の休業日です。ご注意ください。
- キヤノンギャラリー名古屋 2018年9月6日(木)~9月12日(水)
*9/9(日)はキヤノンギャラリー名古屋の休業日です。ご注意ください。
- キヤノンギャラリー大阪 2018年9月20日(木)~9月26日(水)
*9/23(日・祝日)と9/24(月・振替休日)はキヤノンギャラリー大阪の休業日です。ご注意ください。写真展の詳細は
https://cweb.canon.jp/gallery/archive/minemizu-plankton/index.html
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